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2021-02-20

アメリカ パリ協定にきょう復帰

02-20 国際社会での指導力回復に向け

アメリカは地球温暖化対策の国際的な枠組み
「パリ協定」に復帰しました。
バイデン政権は温室効果ガスの削減に向けて
各国の協力を求め、国際社会での指導力の回復
につなげたい考えで、国連のグテーレス事務総長
はアメリカが主導的な役割を果たすことに期待を
示しました。

アメリカのバイデン政権は19日、トランプ前大統領
が離脱した地球温暖化対策の国際的な枠組み
「パリ協定」に復帰しました。

バイデン政権は国内の温室効果ガスの削減に取り組む
とともに、途上国の排出削減を支援し、4月に開催する
温室効果ガスの主要な排出国のサミットなどを通じて
各国にも削減に向けた協力を求めて、国際社会での
指導力の回復につなげたい考えです。

アメリカの協定への復帰について国連のグテーレス
事務総長は18日、会見で、「国際社会による気候変動
対策が強化される」と述べて歓迎しました。

そして、「アメリカは世界最大の経済大国として経済力
と技術力の面で極めて重要な役割を担い、COP26の成功の
可能性を変えるだろう」として、ことし11月にイギリスで
開かれる地球温暖化対策の国際会議、COP26の成功に向けて
アメリカが主導的な役割を果たすことに期待を示しました。

バイデン政権は今後、対策を本格化させ、石油や天然ガス
産業への補助金を削減する一方、洋上風力発電を2030年
までに倍増するなど、再生可能エネルギーへの投資を
増やして雇用を創出する方針です。

一方で石油や天然ガス産業などの保護を重視したトランプ
前政権からの大幅な政策転換には関連企業などからの反発
も強く、対策を思惑どおりに進められるかは不透明だとの
見方もあります。

国連 グテーレス事務総長「気候変動対策が強化される」
アメリカのパリ協定への復帰を前に、国連のグテーレス
事務総長は18日、記者会見を開き「歓迎すべき瞬間が来る」
と述べました。

そして「国際社会による気候変動対策が強化される」
として、EU=ヨーロッパ連合や日本などに続いてアメリカ
が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする
取り組みに加われば世界の排出量の3分の2を減らすことに
つながるという認識を示しました。

さらにグテーレス事務総長は、パリ協定が国連への提出
を義務づけている国別の温室効果ガスの削減目標について
アメリカが各国の模範となるような削減目標を提示する
ことに期待を示しました。

そのうえで「アメリカは世界最大の経済大国として経済力と
技術力の面で極めて重要な役割を担い、COP26の成功の可能性
を変えるだろう」と述べて、ことし11月にイギリスで開催
される予定の地球温暖化対策の国際会議、COP26の成功に
向けてアメリカが主導的な役割を果たすことが必要だという
考えを強調しました。

小泉環境相「復帰を歓迎」
アメリカの「パリ協定」への復帰について、小泉環境大臣は
記者会見で「アメリカは世界第2位の温室効果ガスの排出国
であり、パリ協定の目標の達成に向けて前向きなニュース
なのは間違いない。復帰を歓迎し、世界全体の気候変動対策
を強化する役割を日米がともに進めていければと思っている」
と述べました。

そして、アメリカで気候変動問題を担当するケリー大統領特使
などと会談を重ねていることに触れ「日米協力の新たな領域を
つくることができているのではないか。今後、日米同盟の中で
も『脱炭素』という目標がしっかりと共有されるように連携を
深めていきたい」と述べました。

加藤官房長官「アメリカが開催の気候サミットも重要な機会」
加藤官房長官は、午後の記者会見で「アメリカがパリ協定に
復帰することを日本として歓迎する。気候変動対策に関する
国際的な機運が高まりを見せており、アメリカが4月に開催
する気候サミットも重要な機会で、諸般の事情が許せば
菅総理大臣も参加する方向で検討している」と述べました。

そのうえで「パリ協定が目指す脱炭素社会を実現するため
先端技術分野の研究開発や国際的なルール策定、インド
太平洋諸国の脱炭素移行のための協力を通じて、アメリカ
と連携・協力を深めながら、気候変動分野での国際的な
協力をリードしていきたい」と述べました。

パリ協定 復帰のアメリカの役割に注目
パリ協定は2015年に採択された地球温暖化対策の国際的な
枠組みです。
アメリカの復帰で締約国は190の国と地域に上ります。

協定では世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満
に保つとともに、1.5度に抑える努力をすることを目標に
掲げています。

そのうえで、世界の温室効果ガスの排出量を今世紀後半には
実質的にゼロにするとし、先進国や発展途上国などすべての
国が温室効果ガスの削減目標を設けて対策を進めることを
義務づけています。

削減目標は5年ごとに条約の事務局に提出し、更新する際には
前の目標よりも前進させるとしています。

協定の採択に向けては、当時のアメリカのオバマ政権が温暖化
対策に消極的だった中国やインドに働きかけるなど主導的な
役割を果たしていて、今回の復帰によってアメリカが再び
世界的な温暖化対策をけん引していくかが焦点です。

温室効果ガス 世界の排出量の推移
世界全体の温室効果ガスの排出量は統計のある1970年以降
毎年のように増えてきました。

EU=ヨーロッパ連合の研究機関、共同研究センターにより
ますと、おととし、世界全体の二酸化炭素の排出量はおよそ
380億トンに上り、1970年と比べると倍以上に増えています。

このうち中国が世界全体の排出量の30.3%を占めて最も多く
続いてアメリカが13.4%、EU27か国とイギリスが合わせて
8.7%、インドが6.8%、ロシアが4.7%、日本が3%などと
なっています。
G20=主要20か国のメンバーだけで世界全体の排出量の80%
近くを占めています。

一方で新型コロナウイルスの影響で、去年の排出量は前の年
よりも4%から7%減少するとみられていて、排出量が前の年
を下回れば、金融危機の影響を受けた2009年以来となります。

ただ、新型ウイルスで深刻な打撃を受けた経済の立て直しに
あたって、風力や太陽光など温室効果ガスの排出が少ない
クリーンなエネルギーへの転換が進まなければ、景気回復
とともに再び排出量が増えることが懸念されています。

バイデン政権最優先課題の1つ
バイデン政権は気候変動への対応を経済や外交、安全保障に
関わる最優先課題の1つとして重視しています。

国内では再生可能エネルギーへの投資を増やし、新たな産業
として雇用の創出に結びつけるとともに、原油や天然ガス
などからの転換をはかり、2035年までに発電に伴う二酸化炭素
の排出をゼロにすることを目指しています。

また気候変動を安全保障の面からも緊急の課題と位置づけ
地球規模で対策を推進するためホワイトハウスのNSC=国家
安全保障会議に担当の大統領特使を新たに設けて、パリ協定
の取りまとめにあたったケリー元国務長官を起用しました。

そして今後、ほかの主要な温室効果ガスの排出国にも削減目標
の引き上げを求めるとともに途上国への支援を強化するとして
今後の世界的な取り組みを主導して、国際社会での指導力の
回復を目指す考えも示しています。

特にアメリカを超える世界最大の温室効果ガス排出国の中国に
対しては、最大の競争相手だとする一方、気候変動対策に
関しては新型コロナウイルス対策や核不拡散とともに連携が
可能な分野だとして協力を模索する姿勢も示しています。

一方で石油や天然ガスなどのエネルギー産業の保護を重視した
トランプ前政権からの大幅な政策転換には関連企業などからの
反発も強く、対策を思惑どおりに進められるかは不透明な面も
あります。

最大の温室効果ガス排出国 中国は
温室効果ガスの世界最大の排出国である中国は気候変動問題に
国を挙げて取り組む姿勢を鮮明にしています。

習近平国家主席は去年9月の国連総会で、二酸化炭素の排出量
について「2030年までにピークに達し、2060年までに実質ゼロ
を実現できるよう努力する」と宣言しました。

その後、去年12月にはGDP=国内総生産当たりの二酸化炭素の
排出量について「2030年までに2005年に比べて65%以上削減する」
と表明し、パリ協定の締結に合わせて示していた削減目標を一段
と引き上げました。

中国としては環境問題への対策に加え、エネルギー安全保障の
観点からも風力や太陽光などの再生可能エネルギーの発電を
増やし、化石燃料への依存度を下げたいねらいがあるとみられます。

またトランプ前政権のもとで気候変動の問題に消極的だった
アメリカとの違いを強調し、この問題で国際的な主導権を握る
ねらいもあるとみられます。

中国政府は来月開かれる全人代=全国人民代表大会で、新たな
「5か年計画」と2035年までの長期目標を示すことにしており
習主席が掲げた目標の達成に向けて、さらにどこまで踏み込んだ
対策を盛り込むかが注目されます。

ただ、中国の電力事業に詳しい日本の専門家は「2030年までに
排出量のピークを迎える目標は想定の範囲内だが、2060年まで
の実質ゼロ実現に向けては、かなり意欲的な対策をとらなければ
実現は難しい」と話しています。

このため水素を活用した次世代のエネルギー開発や、昼間の電気
を蓄える蓄電技術の改良など、一層の技術革新を行う必要性に
迫られています。
中国の気候変動対策の柱の1つが電気自動車=EVへの転換です。
中国は年間2500万台以上の新車が販売される世界最大の自動車
市場です。自動車から排出される温室効果ガスを削減するため
中国政府は国家戦略として、環境規制や補助金などを通じて
EVや充電できるプラグインハイブリッド車などの
「新エネルギー車」の普及を積極的に後押ししています。

去年の新エネルギー車の中国国内の販売台数は136万台余りと
過去最高で、9年前と比べて160倍余りに拡大し、世界最大規模
のEV市場となっています。

中国の専門家でつくる団体は去年10月、2035年をめどにすべて
の新車を新エネルギー車やハイブリッド車にして、ガソリン
だけの車はゼロにするという工程表を中国政府の指導を受けて
まとめています。

ただ、EVが走行するのに必要な電力の供給について、中国では
依然として石炭火力発電への依存度が高いことから、気候変動
対策としての効果を疑問視する声もあります。

中国政府がEVの普及に力を入れる背景には、環境対策だけでなく
ガソリン車市場で日本や欧米のメーカーが圧倒的なシェアを
占める中、今後のEV市場の競争で優位に立とうという産業政策
としてのねらいもあるとみられています。

    
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